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7年目を迎える「共生地域創造財団」

復興支援から共生できる地域づくりへ

東日本大震災後、2011年に生活クラブ連合会(東京都新宿区)とグリーンコープ共同体(福岡市)、NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク(北九州市)は3者で、公益財団法人「共生地域創造財団」を立ち上げ支援活動を行なった。震災から7年がたち、多くの団体が復興支援活動から撤退する中、同財団は被災地の新たな課題に向き合う。

変わる被災地のニーズ

大槌事業統括の石井優太さん

「震災から7年経過し、支援の在り方もだいぶ変わってきています」と話すのは、共生地域創造財団の大槌事業統括、石井優太さんだ。多くの被災者は家を建てたり復興公営住宅へ入居するなど新たな暮らしを始めている。が、さまざまな事情でそれがかなわない人たちが今も仮設住宅に残る。

「仮設に残る人の中には、病気や貧困など震災前から生活の課題を抱える人もみられます。自ら声を上げられず災害がなければ支援の手も届かなかった存在ですが、仮設の撤去期限が迫ったことで、地域としてその課題に向き合わざるをえなくなりました」と石井さん。仮設撤去という意味では復興予算に基づく事業だが、実際に行っているのは、そうした人たちの生活が立ち行くよう、転居費用も含めた家計相談や就労訓練などの生活支援だ。

同財団は、震災後仙台市に本部を置き、被災3県の在宅被災者や農漁業への支援を中心に活動を行う一方、岩手県大船渡市にも事務所を置き、2012年から同市の事業を受託、被災者の生活再建を支援してきた。昨年10月には本部を宮城県石巻市に移転、同市の「伴走型支援事業」を受託した。現在は岩手県大槌町にも事務所を置き、石巻市、大船渡市と合わせ3事務所を構えて、支援事業を担う。

震災直後から石巻市内で復興支援に携わってきた末永博さんは、昨年4月から同財団に参加した。「NPOや民間企業など他の支援団体が徐々に撤退していき、これから本当の生活課題が顕在化してきます。財団がこれまで培ってきた、生活困窮者支援のノウハウや実績は石巻市にとって何より有意義なものになると思いました」とその思いを話す。末永さんには、仮設住宅に残った最後の1世帯の相談を受けいなんとか転居できたその翌日に、解体が始まったという経験がある。

「もし転居先が決まっていなければ、即ホームレス支援でした」。被災者支援は生活困窮者支援につながるものがあると、今もその現実を重く受け止めている。

石巻市内の仮設住宅からの転居作業

就労訓練から生活再建ヘ

石巻事務所の末永博さん

生活の再建には仕事の確保が重要な要素となる。財団では、就労相談に来る人々を就労訓練生として登録し、農業や漁業などの現場に派遣して作業を手伝う就労訓練も行う。

「規則的な就労が困難な人が多いので、決められた曜日、時間にその場所に行き作業するという生活リズムの改善が日標です。ただそれ以上に、自分の作業が役に立つ、誰かが喜んでくれるという実感を持つことが次のステップにいくきっかけになります」と末永さんは言う。深刻な人手不足が続く被災地の農漁業者にとっても労働力の提供はありがたい。「第1次産業支援は震災直後から行ってきたので関係性もあり、始めやすかった」と石井さん。双方にとってプラスの関係を築ける可能性は高く、財団の独自事業として今後収益を確保できるよう継続していくことが日標だ。国内の第1次産業の存続を願う消費者にその意味を伝えていくことが重要になるという。

仮設住宅からの転居の手伝いなども、就労訓練の場として活用される。転居費用がなく困っている人と就労訓練の場を必要とする人、相互に役立ち、互いの自立につながる活動だ。

分断をうまない社会を

復興支援には期限があり行政予算もいつまでも続かない。「支援団体が撤退するのは仕方がないこと」と石井さんたちは考えている。ただ支援の中で見えてきた課題は、被災地に限らず全国どこでも抱える重要な課題だとの思いは強い。格差の問題はその象徴だ。

「最初はみんなが被災し困難な状態だったのが、家の再建や再就職など、分岐を経るごとにうまくいく人とそうでない人の格差が広がり階層が固定化していきます。それは戦後の日本と同じ構造。格差自体は仕方ないにしても、それを自己責任として個々に押し付けず、協力し合える地域をどうつくっていけるのか。

復興して撤退ではなく、残された課題に向き合うことがこれからのテーマです」と石井さん。今後、復興とは別の枠組みで同様の活動を継続し、共生社会に向かう軸を地域につくっていきたいと言う。

とはいえ「共生地域づくり」にこうあるべきといったお手本があるわけではない。困窮者の課題解決や、他団体との協力がうまくいった時、ふと「これが共生なのかな」と思うことがあるという石井さん。「自問自答しながら進めていくしかないですね」と笑う。

撮影/高木あつ子  文/宮下 睦

『生活と自治』2018年3月号の記事を転載しました。

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