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「エネルギーの自治」をめざして 生活クラブの発電所づくり

再生可能エネルギーの普及に向け、今最大の課題となっているのが送電線への接続だ。生活クラブ連合会と各地の生活クラブも、再生可能エネルギー100%の電気の共同購入をめざして、各地で発電所の開発を進める。この課題にどう向き合い、進めていくのか。
 

突然の変更

秋田県にかほ市にある生活クラブの風車「夢風」

「まったく理不尽でわけがわからないことだらけなんです」と一般社団法人「グリーンファンド秋田」の代表理事、半澤彰浩さんは憤る。生活クラブ東京・神奈川・埼玉・千葉などで構成するグリーンファンド秋田が、秋田県にかほ市に建設を予定している2基目の風車の建設に、突然大きな壁が立ちふさがったのだ。接続申請や許可のしくみがこれまでとは違う形になり、説明も案内も不十分なまま、高額な費用や条件を提示されているという。

生活クラブが再生可能エネルギー100%の電気の共同購入をめざして、自前の電源としてにかほ市に風車「夢風」を建設したのは2012年のこと。16年には、生活クラブ連合会と各地の生活クラブの共同出資により電力小売り会社「生活クラブエナジー」を設立し、夢風の発電する電気を組合員に供給する事業がスタートした。半澤さんは同社の代表取締役も務める。

夢風建設をきっかけに「電力の産地」である同市との提携は他の食材にも広がり、首都圏の組合員との交流も深まった。ここに2基目を建設し、より安定した再生可能エネルギーの電源の確保とともに、さらに関係性を深めようとした矢先の出来事だった。

再生可能エネルギー事業を始めるには大きく3段階のプロセスがあると半澤さんは言う。「まずは、地元自治体の許認可や自治会、地権者など地域住民の合意を得なければ進められません」。次に調査。風車であれば風況、小水力であれば流量などを調査しなければ事業性が担保できない。さらに一定規模以上であれば環境アセスメントも欠かせない。地域の環境に対してどんな影響があるかを調べ、それを最小限に抑える処置や工夫をするためだ。最後に、送電線を持つ電力会社との接続契約が必要となる。

「最初の二つはとっくにクリアしていたんです。事業実施が確定した段階でさらに丁寧な説明は必要ですが、地元も合意し風況調査もしました。ところが送電線接続申し込みの段階になって突然、これまでと違う話がでてきたんです」と半澤さんは困惑する。

増強工事は必要なのか

東北電力は16年10月、青森、岩手、秋田県全域と宮城県の一部の送電線の空き容量がゼロと公表、これを解消するため、系統増強工事を13年かけて行う方針を示している。その工事費用は総額約2,000億円にも上るという。送電線の増強費用は莫大なものになることから、国は、送電線を使う事業者が案分してこれを負担することをルール化、それに則り今回東北電力が行ったのが「電源接続案件募集プロセス」だ。参加する事業者の応募締切は昨年4月だったが、応募した半澤さんの手元に接続申込検討回答書が届いたのは今年6月、入札会の案内も大幅に遅れた。

回答書によれば負担金は出力量に応じて案分され、グリーンファンド秋田に提示された負担金は夢風の時にかかった額の10倍以上になるという。「送電線は東北電力のもの。それを増強する費用をなぜ使用事業者が負担しなければならないのか」と半澤さんは疑問を呈す。送電線の使用料である「託送料」は毎月相当の高額を支払っている。電気料金のうち約3分の1にも上るという。さらに不審なのは、それだけの増強工事が本当に必要なのかという点だ。

「解釈の違いはあるにせよ、実際には送電線は空いているんです。火力発電所の新設や原発の再稼働が計画されているのでそれらを通すための増強としか思えない。そもそも電力消費量は減っています。本当にそれだけの費用をかける必要があるのでしょうか」

しかもこの路線では、送電線を最大限活用しようという「コネクト&マネージ」の日本版の導入が検討されており、送電線にトラブルが発生するなど緊急の際には補償なしに接続を切ることへの同意も求められた。「何のためのコネクト&マネージか」と半澤さんの疑念は膨らむ一方だ。

▲住吉川第3堰(えん)堤主提。兵庫県では初の試みだ

大勢の参加で脱原発を

こうした対応の背景には、現政権の火力発電所や原発推進の姿勢があると半澤さんはみる。7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画についても「まさに『ブレーキの計画』。再生可能エネルギーを主力化するとしながら、その事業者、とりわけ小規模事業者に不利な政策が次々に計画されている」と懸念を示す。

そうした状況にあって、生活クラブが自前で電源開発をすることにどんな意味があるのだろうか。半澤さんは、そうはいっても「エネルギーの自治」をめざすために、やはり重要なポイントだと言う。

「価格はもちろん、生産から廃棄までを自分たちで納得のいくようコントロールできるのが自治。地域の資源を活用するものだから、地元の人たち、地域社会に役立つものでなくてはならないし、再生可能エネルギーであっても何らかの形で自然には影響します。それを最小限にとどめ、解決する工夫や点検をしながら開発することも必要です」

そのためには、まず自らが課題を明確にし、クリアしていく必要がある。すべてを自前で賄うわけにはいかないので、そうした開発の在り方を、同じ思いを持つ他の事業者と共有していく必要もある。地域の人が中心になり、共同で進める小規模分散型の発電所は現在各地に広がっている。そうした人たちとの連携を進める中で、原発に依存しない社会を大勢の参加でつくっていくことが目標だ。

▲山形県遊佐町の太陽光発電所を見学する生活クラブ組合員。すでに工事は5割の工程を終えている

生活クラブでは現在、山形県遊佐町に地元の生産者と共に進める「庄内・遊佐太陽光発電所」、神戸市に市民が中心に進める「住吉川小水力市民発電所」を計画している。

「電力システムが不透明なので発電所づくりはどこで壁に突き当たるかわからず難しい面もありますが、この二つは見通しがある」と半澤さん。発電所は電気を使う人がいないと成り立たないので、生活クラブエナジーと契約し共同購入への参加者を増やすこととセットで開発を進めなければと言う。単に経営のためだけでなく、こうしたエネルギー事業を支持する人が大勢いると社会に示すことにもなる。

「現政権がブレーキの政策を打ちだす一方、再生可能エネルギーへのシフトが進む国際情勢や脱原発の声は経済界も無視できません。両者がせめぎあいにある今、後退するわけにはいきません」

生活クラブエナジーでは、電気共同購入のしくみ、「生活クラブでんき」に参加する人をさらに増やしその意思表示をしていこうと、組合員参加による、契約メニューの豊富化の検討も始めている。

文/本紙・宮下 睦

『生活と自治』2018年9月号の記事を転載しました。

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