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在宅ケアはみんなで 小規模多機能型居宅介護「みんなんち」

東京都世田谷区千歳台にある「ケアセンター世田谷」には、グループホームと居宅介護支援、さらに小規模多機能型居宅介護(小規模多機能)の3つの事業所が入っている。小規模多機能は、「通い」「訪問」「泊り」の3つのサービスを組み合わせ、24時間体制で在宅介護を支援する事業。06年の介護保険制度改正で導入され、小規模多機能サービスを提供する事業所は現在も増加傾向にある。  社会福祉法人「悠遊」理事長の鈴木礼子さん
「ケアセンター世田谷」は、生活クラブ東京の本部があった場所に2012年に建設された。本部の跡地利用の検討プロジェクトでは、子育て施設を求める意見も出されたが、地域密着型の介護サービスを担い、泊りにも対応できる小規模多機能への期待から、高齢者介護のための複合施設の建設が決まった。

同センターの運営は、生活クラブ東京が母体となって1993年に設立し、西東京市で介護事業を行ってきた社会福祉法人「悠遊」が担う。「小規模多機能はこれから必要とされているサービスです。今までの介護保険サービスの中で大きな特別養護老人ホームを作っていくのではなく、在宅介護を支えていくという考え方から生まれたものです」と、悠遊・理事長の鈴木礼子さんは話す。

同センターの「小規模多機能ホームみんなんち」の利用登録者は17年7月現在17人。利用時間も介護度もさまざまで、 一人一人に合わせたケアができるように職員を確保し、配置するのが悩みどころだ。何とか配置を完了しても、利用者の状況が変わってしまい、組み立てなおす場合もままある。

「『みんなんち』での過ごし方が家に戻ってからも生かされているかがとても大切なのです。介護施設は介護施設、自宅は自宅の過ごし方があると分けて考えるのではなく、双方をつなげながら、総合的な生活支援ができるのが小規模多機能の強みです。なかには、他の施設への入居を待つ間ずっと泊まらせてほしいというご家族もいますが、それでは小規模多機能の良さが生かせません。通いで受け入れられる人数も決まっていますから、シェア(調整)が必要な場合も出てきます。こうした事情をご家族にはご理解いただき、そのうえで利用登録をしていただきたいと思っています」

小規模多機能は24時間体制での介護に併せて訪問も行うため、どうしてもサービス提供エリアが狭くなり、利用者が限定される。また、各自治体の介護保険計画に基づいて施設の建設が認可されるが、西東京市には同様の計画がなく、同市内にある悠遊の施設では小規模多機能のサービス開始を望む声はあっても対応できないという。

人に優しい施設を

 ファンレストテーブル
ケアセンター世田谷の「みんなんち」は、悠遊の介護経験を踏まえた工夫が随所に見られる施設だ。 テーブルやイスは、個々人の身長に合わせた位置で食事がとれるように、高さが変えられるようになっている。さらにトイレにはファンレストテーブルという折り畳み式のミニテーブルを設置。

 強アルカリ水と強酸性水を作る設備。
洗浄や殺菌ができるので、殺菌剤などの薬品を使わなくてすむ。安全で、施設から有害物質を排出しない

高齢者は前かがみになると転倒しやすいが、このミニテーブルに寄りかかれば、自然と腹圧がかかり、排せつがしやすくなる。人によって左右の身体のまひが異なるため、それぞれが使いやすい方を選べるようにトイレを2ヵ所設置し、便器の右側と左側にミニテーブルが設置されている。

「歩けることよりきちんと座れることが大事です。座ることでおむつではなく、トイレに行ける、お風呂にも入れる、食事も誤嚥(ごえん)しにくくなります。座るということが利用者にとって尊厳のある生活の一歩だと思います」と鈴木さんは訴える。

風呂場には左右2ヵ所にシャワーが付けられているが、鏡は片方にしかない。認知症の症状の一つに、鏡の中に映る自分を認識できなかったり、違うものが見えてしまったりする症状があるため、鏡を見ないようにするための対応という。このように症状を理解して接すれば、利用者も安心し、落ち着いた状態でケアを受けられるのではないだろうか。

家族と地域と一緒に歩む

 ケアセンター世田谷のグループホーム利用者の手による緑のカーテン
「みんなんち」の食事は生活クラブの消費材を使って作られる。通いで来ている利用者の7割ほどが夕食を食べてから帰宅する。利用者の家族が仕事から帰宅し、高齢者に合わせた夕食づくりをするのは負担が大きい。夕食と服薬を施設で済ませられれば、家族の負担が減り、介護離職を防ぐことにもつながるという配慮から生まれた対応だ。

「高齢者の一人暮らしでは栄養を考えた食事をとることが難しいのではないかと考え、施設に来ない日も配食をしています。1食でもきちんとした食事をとるのは大事なこと。『みんなんち』では、自由に過ごせるし、食事がおいしいと言って利用を続けてくれる人もいます。ここを利用してから体調が安定して、病院にもあまり行かなくなったと、利用者の息子さんが話してくれたこともあります」(鈴木さん)

「みんなんち」では1年に4回、利用者の家族会を開いている。介護者への励ましや共感の言葉は、同じ境遇にある者同士納得できるのではないかとの思いから、家族同士で交流できる場を設けた。

ケアセンター世田谷の中には地域の交流が楽しめるスペースがあり、月に1回認知症カフェ「cafeゆうゆう」も開かれる。この催しをきっかけに認知症に関する地域の理解が広がり、ボランティアヘの参加につながる場合もある。ケアマネジャーが常に参加しているため、地域の人が抱える介護の悩み相談にも応じられるという。

「近隣の小学生の歌唱クラブの子どもたちが来てくれて交流することもあります。利用者は涙を流して喜んでいます。子どもには勝てません。認知症で忘れてしまつても、あとで写真を見ながら話をしています」と鈴木さん。

中野区の公有地では小規模多機能の公募があり、悠遊が選ばれ、19年2月に小規模多機能を含む介護施設を開設する予定だ。

「みんなんち」には各地の生活クラブからの見学者も多い。ここから小規模多機能が広まっていくことを鈴木さんは願っている。
 

『生活と自治』2017年11月号の記事を転載しました。

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